8月からベルギーを中心にヨーロッパをぶらぶらしています。
ミナです。
滞在しているのは、学生時代に留学生として日本に来ていたベルギー人のウェンディのお宅。
同じ大学の図書館で初めて喋ってから友達になって、もう25年来の友達。
「時間があるなら、こっちに来て一緒に夏休みを過ごしましょー」と誘ってもらい、
お世話になっている。
先日、彼女がサポートしているシリア難民のご家族の家にお呼ばれした。
ウェンディの住むベルギー北西の小さな街では、数百人のシリア難民を受け入れていて、
彼女は街で募集していた難民サポートのボランティアに登録し、ご主人、奥さん、
小学生の娘さんと息子さんの、とある4人家族の生活支援をしているとのこと。
ご家族には毎月15万円程度(4人家族で)の援助金が国から支給されてい
て、そこから家賃などを含むすべての生活費を賄っているらしい。
ギリギリの暮らしだけれども、住む家があり、子供達は地元の学校に通い
医療などは無料で受けることができる。
大変なのは言葉の問題で、子供たちはそこで話されているオランダ語がわからないまま
地元の学校に通っていた。子供なのでオランダ語を話すことはすぐに出来るようになった。
でも、読み書きについては皆無。学校の勉強についていけてなかった。
それに気づいたウェンディが、学校に対して、子供たちには教科書を読む特別なサポート
が必要であることを伝えたけど、学校側はサポートができる人材が足りないため無理との返事。
このまま読み書きできずに進級し続けていけば、学校を卒業しても仕事につくことができず、
将来苦労すると、ウェンディは学校と相談し、自らがボランティアとしてオランダ語の
読み書きを教えることにした。
1人でするのは大変だから、一緒に手伝ってくれる友達を探し、交代で週に3回。
そして子供達の読み書きレベルを把握した上で、再び学校の担任と相談し、母親とも話をして、
これまで授業についていけなかった今の学年をもう1年やり直すことを提案した。
子供たちも母親も、最初は留年するという選択に戸惑ったみたい。
でも、辛抱強く説明して、理解してもらい。最終的には了承、同じ学年でもう1回頑張って
もらった。
そして、いま子供たちは学校の勉強にもついていけるようになって、学校を楽しんでいる。
昔からそうだったけど、ウェンディの前向きな思考力と行動力はすごい。
計画を立て、目標を達成していくのがとても上手。
難民のご両親にとって、オランダ語が自由に話せるようになった子供たちの存在はとても
心強い。11歳の小さい女の子が両親の通訳として生活をサポートしている。
そんなこともあって、このシリアのご家族はウェンディ一家にとても感謝している。
お互いの家を行き来して、ウェンディの娘さんたちも子供たちととても仲良しだ。
(これは、ベルギーでは珍しいみたい。難民一家と家族ぐるみで付き合いをしている人たちは
少なく、そういう意味でも、このシリアのご家族はウェンディ一家をとても大切に思っている)
で、今回「日本から友達がくるよ」との話題になり「日本人に会ってみたい!」と
お呼ばれされた。おぉ。。。わたしが初めて会う日本人なんだー。
わたしも初めて会うシリア人だー。楽しみ!
シリア人のおもてなしはすごい。
テーブルにはあふれんばかりのごちそうが並んでいた。
ヨーグルトのドレッシングとサラダ。
チキン。エビフライや肉包、スパイスの効いたサフランライスのようなご飯。
これが、すべてとても美味しい。
美味しいからぱくぱくたべるんだけど、それ勝るスピードで皿の空いたところに次々と
食べ物を乗せてくれる。
もうわんこそば状態(笑)
どうやってストップをかければいいんだー!?
美味しかった!!お腹いっぱい。
そして食後、大人たちは庭に移動。
コーヒーのお供に「シーシャ」
水タバコ。
タバコのような乾燥した葉っぱと、りんごの実のペーストのようなものを燻した煙を
水に通して吸う。
これが、想像以上にフルーティー!!
テレビで見たことあったけど、あのおじさんたち、実はこんなにフルーティーな煙を
吸っていたのね(笑)
ウェンディたちが日本に旅行したときの写真を見せながら、日本のお寺とか、渋谷の
スクランブル交差点とか、お寿司屋さんとかの説明をする。
ご家族みんな、とても興味深そうに写真を覗き込んでいた。
ご家族とは、滞在中にまた再会することを約束した。
言葉はほとんど通じなかったけど、明るい笑顔と、私たちを家に招くことを楽しんでくれて
いるのがよく伝わってきた。
このご家族が、今まで経てきた体験は、私たちにはとても想像できない。
病院で血液検査の技師の仕事をしていた母親。夫が行方不明になり、もう亡くなったものと
諦め、子供を2人抱えてベルギーで難民として暮らしていく道を選んだ。
ベルギーに着いてから、夫の消息を調べてもらったところ、亡くなったと思っていた夫が生きて
いることがわかった。
夫がベルギーに渡航するための手続きを始める。
家族が再会できるまで、かかった時間は2年。
今こうやって新しい暮らしが始まり、これから両親は仕事を見つけるために、オランダ語の
習得を必死にやっていかなければならない。
ベルギーからの支援金はずっとは続かない。
なんとか仕事を見つけ、子どもたちを育てていかなければならない。
ウェンディと話をしていると、これからこの家族が直面する生活面の問題、子どもたちの将来
など、問題が山積みだということがわかる。
でも、この家族を見ていると、家族が一緒に、安全な暮らしをすることができる安心感の
ような柔らかい喜びを感じる。
大変な時間を経験しているからこそ、今この瞬間の幸せを感じている人たち。
だから笑顔が明るい。
テレビやニュースの中で見聞きしていた話が、こうやって実際にご家族に会ってみて、彼ら
の生活を見たり聞いたり、感じたりすることができたのは本当に良かった。
彼らとの出会いは、人に「幸せとは何か?」を問うチャンスを与えてくれる。
そこでいまの自分の恵まれた環境に気づけた人はとてもラッキーだと思う。
こうやって、すべての人は影響し合って存在しているんだなぁと、実感した時間だった。